
関係者によると、設計者の山下和正氏がプレゼンテーション用の模型を準備していた際、屋根の先端に何を付けるか決めかねていたという。そこで仮に「待ち針」を刺して警視庁に提出したところ、当時の関係者がこのユニークなデザインをいたく気に入り、そのまま正式採用されたというエピソードが伝えられている。一方、別の説では、施工業者が模型のピンを本物のデザインと誤解して作ってしまったとも。いずれにせよ、この偶然から生まれた待ち針ピンは、銀座のランドマークとして愛される存在となった。数寄屋橋交番は、その愛らしい外観だけでなく銀座の街並みに溶け込むレンガ造りのデザインも特徴だ。しかし、2015年頃には建物の老朽化や耐震性の問題などから建て替えが検討されたこともあったようだ。それでも、地元住民や観光客からの支持が高く、現在もその姿を保っている。

銀座を訪れた際には、数寄屋橋交番の「待ち針ピン」を眺めながら、そのユーモラスな誕生秘話を思い出すのも一興だろう。街の小さなシンボルが、今日も銀座の安全を見守っている。
数寄屋橋交番
住所:東京都中央区銀座4丁目1番2号
アクセス:東京メトロ「銀座駅」C5出口
外堀通りと晴海通りの交差点に所在。幾多の変遷を経て明治時代の銀座煉瓦街にちなんだレンガ造りのデザイン交番。数寄屋橋交番の開設は警視庁創設明治7年より古く明治5年設置という歴史のある交番。

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24
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