【注目】銀座に新たに誕生したGINZA119ステッカー覚えておくべし

最近、銀座の飲食店でよく見かけるようになったこのステッカー。はたして、どんなステッカーなのだろうか。銀座で商いをしているお二方にお話を伺った。

まずはじめに、銀座でBARを営まれているBAR yu-nagiさん。お手元に持っているステッカーですが、どのようなものでしょうか?

BAR yu-nagi 神木俊行 氏

銀座料理飲食業組合連合会は、京橋消防署と連携しながら海外からのお客様が安心して銀座に訪れていただけるよう、『GINZA119』のポスターとステッカーを作成しました。銀座の魅力は、食事とお買い物だけではなく、それぞれの店の安心安全の取り組みがあってこそ。今後はそれらをゆっくりと認知してもらえるよう努めてゆきます。

と語るのは、銀座料飲組合 広報担当神木 俊行さん。普段はBAR yu-nagiのご主人だ。お店はユニクロ銀座店の裏手にあり、季節のフルーツを使用したカクテルは抜群に美味しい。自ら選定したフルーツの説明は、聞いているだけで酔いしれてしまいそうだ。(銀座6-8-6)


銀座煉瓦通りにお店を構えている、元祖カツカレーで知られる銀座スイスさん。銀座料理飲食業組合連合会119ステッカーは店内の目立つところに貼られていた。

銀座スイス 藤岡康雄 氏

老舗寿司店も賛同

銀座で120年以上続く、銀座寿司幸本店 4代目・杉山衛さん。銀座料理飲食業組合連合会の理事長も兼任している。

今回どのような目的でお作りになりましたか?

料理人が自信を持って世界中のお客様をおもてなしできるのは、料理を作ることの他にも気を遣っていることがあるからです。それは…

この街で働く方々、買い物や食事でいらっしゃる方々に「安心・安全」な街だと、感じていただけるようにすることです。消防署と連携しながら、火事を起こさないための心がけ、消火器の使い方や救命講習など、店主と従業員が万一の際に備えての取り組みを続けています。

お店の営業以外のことでも気を抜かずに学び続ける。「安心・安全」を日々心がけている街「銀座」。

人の賑わいが戻ってきたこの街の普段は見えない部分の取り組みを知っていただき、栄える街であり続けるために。
「銀座料理飲食業組合連合会」は今まで、そしてこれからの活動のシンボルとして『GINZA119』のポスターとステッカーを制作しました。

「安心・安全」に留意しているのは、飲食店だけではありません。ですので、当組合の名称はデザインに入れておりません。

もし、火事や救急救命の事態が起こった際は、店主やスタッフが皆さまの安全を確保するために行動します。
消防車、救急車が到着するまでの数分間に、できることがあります。
緊急時には、躊躇うことなく『CALL 119』もしくは、私達にお声がけください。
(銀座6−3−8)

銀座で商いをしている心意気と歴史を感じることができました。貴重なお話をありがとうございます。


デザインに込められた意味とは?

今回ステッカーをデザインした高橋信雅氏は、どのような仕掛けを組み込んでいるのだろうか。

アーティスト高橋信雅 氏

銀座料理飲食業組合連合会からの依頼で、インバウンド対策の注意喚起の広告「GINZA119」ポスターとステッカーを制作しました。英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語で「日本で救急と火事の際は119に電話する」ということをお知らせするものです。

コンセプトからお伺いできますか?

日本を保守する広告です。

デザインの要点をお聞かせ下さい。

「日の丸」を印象付けることで日本を強調しました。一番目立つ文字「AMBULANCE」を描き下ろしました。 色や印刷設定に面白いし仕掛けを施しています。

印刷の仕掛けとは?

「グラフィック」は、最初に「日本」を意識してもらうため、日本の国旗「日の丸」をオマージュしました。「赤丸」の部分を「血(救急)」と「火(消防)」の形に変えて表現しています。色は、印刷的には版がずれないように金赤[M100Y100]で設定したいところですが、「日の丸」の指定色「紅色」を意識させるためにイエロー(黄色)を5%削り[M100Y95]で設定しました。

「AMBULANCE AND FIRE」は、最初に目がいくようにオリジナルフォントを制作し大きく配置しました。オリジナルフォントが目立つようにそれ以外には定番のフォントを使用しています。色は、キートーン(黒一色)[K100]で設定しました。重なりあう「血」と「火」の[M100Y95]部分と使用している印刷版が違うため、お互いの形がぼやけずにはっきりと認識できるという仕掛けです。


仕掛けがお見事ですね。CALL119はどのような意味がありますか?

「CALL 119」は、街でよく見かける定番フォント「アーヘン*5」を使用しました。その中でももっとも特徴が現れた「ボールド」を使用しました。その他の定番フォントよりは目立ち、「グラフィック」「AMBULANCE AND FIRE」の次に目に入るようにデザインしています。

「CALL」部分の色は、四色黒[C40M100Y40K100]で設定しました。四色黒にすることで「AMBULANCE AND FIRE」の[K100]と差別化を図っています。また、マゼンタ(赤色)部分を[M100]に設定することで「東京消防庁」「京橋消防署」部分[C100M40Y40K100]との区別化を図っています。

「119」部分の色は、金赤[M100Y100]で設定しました。「血」と「火」[M100Y95]との差別化を図っています。マゼンタ(赤色)を強くすることで「危機感」をイメージさせ、色彩心理学のパブリックイメージである「熱さ」「強さ」「興奮」などを印象付けることができます。

人の心理で赤色は危機感をイメージさせますね。一方で熱さや強さも同時に引き出しているんですね。



「後援」「東京消防庁」「京橋消防署」「Tokyo Fire Department」「Kyobashi Fire Station」部分には、公共サイン(電車の駅名標や道路標識など)では定番のフォント「スーラ*6」を使用しています。色は、四色黒[C100M40Y40K100]で設定しました。四色黒にすることで「AMBULANCE AND FIRE」の[K100]と差別化を図っています。また、シアン(青色)部分を[C100]に設定することで「CALL」部分[C40M100Y40K100]との区別化を図っています。シアン(青色)を強くすることで「水」をイメージさせ、色彩心理学のパブリックイメージである「信頼」「誠実」「知性」などを印象付けることができます。

「GINZA」にも、街でよく見かける定番フォント「アーヘン*5」の「ボールド」を使用しました。この部分は箔押し加工で「つや銀」にすることで銀座の表現と高級感を演出すると同時に、明度が極端に下がるため、同じフォントを使用している「CALL 119」よりも目立たないようにする効果があります。

箔押し加工は個人的にも魅力的な技法だと思いました。ポスターのサイズにも仕掛けがあるようですが…?



ポスターは、丈を少し短くした変形オリジナルサイズです。特別感を演出すると同時に、定型サイズの中に飾られると違和感により際立つという仕掛けです。紙は、「アラベールスノーホワイト」を採用しました。繊細な風合いで優しい手触りをもつ非塗工印刷用紙で、高い印刷適性と発色性を保ちながら、柔らかい風合いを失わず、ナチュラルで気品のある印刷表現を可能にする紙です。

ステッカーも、変形オリジナルサイズです。電車の優先席付近に貼られている「ヘルプマーク(120×90mm)」より一回り大きく製作しました。定型サイズの他シールと混ざらずに効果的に作用する仕掛けです。素材は、長期使用にも耐えられるように「銀テトロンタック+PP加工」を採用しました。塩PETにアルミ蒸着させたフィルムで屋外使用にも適した素材です。印刷は、ポスター同様「オフセット印刷*4」を採用しました。「オンデマンド印刷*4」とは違い、しっかりとした印刷版の振り分けができている場合、インクが混ざり合わないため、広告の認知性が上がります。小ロットに適した「オンデマンド印刷」よりも4倍ほどのコストになりましたが「注意喚起」の広告なので効果を優先させました。ポスターと違う部分は「GINZA」と「血」と「火」部分をヌキ型にしているところです。素材のアルミ部分が露出することでキラリと光る仕掛けです。グラフィックとして「GINZA」部分が銀色に光るのはもちろん、「血」と「火」部分が光ることで、認知性が上がる仕掛けです。ポスターより小さくても注意喚起の能力を保てるようにしたデザイン設計です。その仕掛けを引き立たせるために、白色は透けないように「二度刷り」しました。

様々な意味や、仕掛けを取り入れているんですね。改めて見ると初見よりも違った角度から楽しめるデザインだと思います。

今回お話を伺った、杉山さん、神木さん、高橋さんありがとうございました!!

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24

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