日本一の繁華街

夜の闇に、光が浮かび上がる。
この絵葉書に写るのは、昭和中期頃の銀座の夜景だ。
通りの両側に立ち並ぶ百貨店や飲食店、娯楽施設のネオンサインが、まるで競い合うように輝いている。昼間の端正な表情とは異なり、夜の銀座は「日本一の繁華街」としての顔を全面に押し出していた時代だ。
画面左手には「FUJIYA GRILL & TEA-ROOM」の文字。戦後の銀座を象徴する洋食文化、喫茶文化の存在感が伝わってくる。仕事帰りの会社員、買い物を終えた人々、待ち合わせをする男女。ネオンの下を行き交う人の波は、当時の経済成長と街の熱気をそのまま映し出しているようだ。
中央通りを埋め尽くす車のヘッドライトも印象的だ。現在の洗練された銀座とは異なり、この頃の銀座は「勢い」や「憧れ」が前面に出た街だった。新しいもの、舶来のもの、最先端の文化が、まず銀座に集まり、そこから全国へ広がっていった。
この絵葉書が語るのは、戦後復興を経て、人々が未来を信じ、夜の街に夢を重ねていた時代の空気そのものだ。静かに見つめると、ネオンの光の向こうから、当時のざわめきや笑い声、車の音まで聞こえてくるような気がする。
銀座はいつの時代も、ただの街ではなく「時代の象徴」であり続けてきた。そのことを、この一枚の絵葉書は雄弁に物語っている。

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24
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