『歌舞伎そば』は惜しまれつつ閉店した後も根強いファンを持っており、その復活や類似メニューの登場は街の記憶を呼び覚ます。話題の歌舞伎座地下・木挽町広場で出会った「大見得そば」を実食レポート!

歌舞伎座の地下、木挽町広場を歩いていると、どこか懐かしさを覚えるそばの香りに足が止まった。2024年にオープンした『歌舞伎茶屋 房の駅』。千葉の名産品を扱う「房の駅」が手がけるこの店は、物販とイートインが一体となった、歌舞伎座らしい寄り道の場となっていた。
今回のお目当ては、メニュー名からして只者ではない「大見得そば」である。

カウンターで先に注文を済ませる。座席で出来上がりを待つ時間さえ、どこか高揚感がある。ほどなくして提供された一杯を見た瞬間、思わず心の中で声が上がった。
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「……歌舞伎そばだ・・。」

かつて東銀座で長年親しまれ、惜しまれつつ姿を消した「歌舞伎そば」。その名物だった、そばの上にかき揚げを豪快に散らしたスタイルと、目の前の「大見得そば」が重なる。かき揚げはお皿に整然と乗るのではなく、あえて崩した状態でそばの上へ。これが見た目にも食感にも独特のリズムを生み出している。

そばはつるりとした喉ごしで、やや柔らかめ。つゆは濃すぎず、かき揚げの油を受け止めながらも後味は軽やかだった。サクサクの部分、つゆを吸ってしっとりした部分、その移ろいを楽しみながら箸が止まらない。構成や味わいは、記憶の中の歌舞伎そばに程よく近い。直接の関係はなく?とも「これは意識しているのでは」と感じさせる完成度だった。

店内を見渡すと、観劇前後と思しき来店客や、近隣で働く人の姿も多く見られる。回転も早く、幕間の短い時間でも利用しやすいのは、歌舞伎座地下という立地ならでは。そばのほかにも甘味や軽食が揃っており、使い勝手の良さが際立っていた。
現在は「歌舞伎そば」はもう存在しない。しかし、その記憶を呼び起こす一杯が、同じ歌舞伎座の地下で味わえるとは。この偶然とも必然とも言える出会いは、東銀座という街が持つ記憶の重なりを改めて感じさせてくれた。
懐かしさを知る人にも、初めての人にも。
『歌舞伎茶屋 房の駅』の「大見得そば」は、歌舞伎座の新しい名物として、静かに存在感を放っているのでおすすめだ。
住所:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座 地下2階 木挽町広場
営業時間:9:00〜18:00(要確認)
アクセス:東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座駅」から0分

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24
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