インタビュー
前田雄大 社長
大学卒業後、大手住宅メーカーの営業から、創業者の父の背中を追いかけ、矢動丸プロジェクト入社。現在、代表取締役社長 「賢者の選択」「賢者の選択サクセッション」「日本アントレプレナー大賞」「サクセッションCLUB」「ミギウデ」などの事業を展開。趣味は山登り。
広告の歴史は、銀座にあり
日本の広告は、今も昔も銀座が中心なのかなと思っています。特に明治時代以降、銀座は商業と文化の交差する場所として発展し、多くの企業がこの地を舞台に広告を通じて自社のブランドを広めていると認識をしています。銀座で創業した企業でも、銀座四丁目のビルに大規模な広告を掲げることで、広告の新しい形を提示しました。
明治以降、広告代理店や媒体社も次々と銀座に集まり、広告の中心地としての地位を築き上げ、現在ではこれらの企業が全国に散らばっていますが、日本の広告の発祥の地としての銀座の重要性は変わりません。特に、弊社は大阪で創業したため、銀座に対する憧れは一層強かったと聞いています。
ーー銀座進出へのきっかけを教えてください。
弊社は20年、大阪で広告代理業をしてきました。
得意領域は、関西エリアのテレビCMやラジオ、甲子園球場の看板、阪神高速の看板、などの広告枠を売るというビジネスモデルです。「賢者の選択」というテレビ番組を作ったのは2004年です。当時、BS民放テレビができた頃だったので、BSにチャレンジしたいというタイミング。そこに「東京でやってやるぞ」「広告は銀座でしょ」っていう思いが重なり銀座に進出をしてきたようです。
ーー前田社長が思う、銀座のお気に入りの場所はどこでしょうか。
「東銀座 (木挽町) エリア」
歌舞伎座からブロッサム辺りまでの一角がすごく好きです。
初め銀座で働き始めた時は、マンション4階のワンルームで開設した東京支社でした。銀座なのに銀座らしくない、 そういう感じがすごく好きかもしれないですね。
「泰明小学校の裏の銀座ファイブとの隙間の道」
毎日、仕事の通勤時に必ず通るルートです。とても綺麗で雰囲気がいいですね。静かなので朝はいいリフレッシュになるというか、切り替えになるというか、そんな感覚です。
ーーテレビ番組『賢者の選択』について教えてください。
創業以来、私たちの会社は関西地域でのメディアバイイングのみならず、独自のテレビ番組の企画制作も得意としてきました。『賢者の選択』という番組は、放送開始から20年が経ち、毎週の放送を通じて1000回以上のエピソードを重ねてきました。その間に、多くの経営者やリーダーの皆様とインタビューを通じて、関わりを持つことができました。この番組が他のビジネス番組と一線を画すのは、その深い洞察力と温かみのある人間味にあります。『賢者の選択』では、単に成功事例やビジネストレンドを紹介するだけでなく、その裏にある経営者たちの人生や哲学にも迫ります。出演する経営者たちは、自らの失敗や苦労をも包み隠さず語り、その過程で得た教訓や成功の秘訣を視聴者と共有してます。
ーー大きなコミュニティが出来ていると伺いましたが。
はい。もう一つの魅力は、そのコミュニティ形成の力です。番組を通じて多くの経営者との関係が築かれています。このコミュニティは、企業間の協力や新しいビジネスチャンスの創出に寄与しています。視聴者は、番組を通じて得た知識を自身のビジネスに活かすだけでなく、同じ志を持つ仲間と出会い、共に成長する場としても活用しています。
ーーメディア業との融合とは。
私たちは40年以上にわたり、広告を通じて利益を上げてきましたが、今の時代においては、広告ビジネスの価値は単に広告の購入手数料ではないと考えています。広告ビジネスの本質は、企業や人の魅力や強みをどれだけ引き出して、効果的に伝えることにあります。私たちは、この基本的な広告の形を追求し、メディア業と上手く組み合わせてきました。多くの経営者との関係を築くことで、地域社会に役立つ活動を行い、信頼を得てきました。私たちの会社を番組制作会社だと認識しているかもしれませんが、実際には企業や人の魅力を引き出し、メディアを通じて広く伝えることを目指しています。このような活動を通じて、私たちは多くの経営者との繋がりを築いております。
ーー事業承継プラットフォーム「賢者の選択 サクセッション」について教えて下さい。
「賢者の選択 サクセッション」は事業承継をテーマとしたメディアです。加えて、私の実体験から「事業創継」に特化した経営者コミュニティ「サクセッションCLUB」も立ち上げました。「事業創継」とは、事業を「クリエイティブに創りながら継承する」という意味を込めて考案した言葉です。
ーー具体的にどのようなメディアでしょうか。
このプラットフォームは、テレビ、ウェブメディア、コミュニティの三つの要素で構成されています。目指すのは、事業承継における「ノウハウや知識の形式化」であり、事例を分析しながら知識を形式化することです。そのため、早稲田大学の入山章栄教授にも賛同いただきこのプロジェクトをまずはメディアとしてスタートさせました。当事者たちのノウハウを集約し、学問にまで昇華できれば大きな価値があります。そのためには皆様の「生の声」が必要です。このようなメディアが他にないため、ここ1年半で多くの共感を得ています。
ーーコミュニティの方向性。
今後、同じ立場の方々からの共感を得ることが一番嬉しいことであり、力を貸していただきたいと考えています。コミュニティ内で自身のノウハウや体験談を共有していただければありがたいです。何代目であるかに関わらず、会社を成長させたいと考えている方々と仲間になりたいと願っています。
ーー前田社長にとって「株式会社ミギウデ」の存在とは。
株式会社ミギウデに於いては、メディアを通じて集めた事例に基づいて、承継企業のあるべき経営チームについて定義し、人材のマッチングという、具体的なソリューションを提供することを目指しています。メディアの力を活かして、人の役に立つことができると信じています。広告の枠を超えて、コンテンツやコミュニティを大切にし、事業承継に寄り添っていくことが目標です。
ーー事業承継問題についてどのようにお考えですか。
「事業承継問題」は重要な社会課題です。私どもがプラットフォームで目指すのは経営課題の解決であり、単なる悩み相談の場ではなく、具体的なソリューションを提供したいと考えています。広告ビジネスは経営課題解決に寄与しますが、事業承継の問題は広告だけでは解決できません。株式会社ミギウデでは、「右腕の会」とも連携し、事業承継時の中心的課題の1つである「人材」の課題解決を、社長のミギウデとなるCXO人材の紹介を通じて実現しています。
経営者にはリーダーシップやアントレプレナーシップなど多くのスキルが必要ですが、現実にはこれらのスキルが不足している後継者も多いと感じています。特に、人に伝える能力や相手を引き込む力が重要であり、自分自身もまだ不十分だと感じています。「賢者の選択」などのメディアを通じて経営者の考えを伝えることには大きな意義があります。特に事業承継においては、その重要性が高いです。中でもファミリービジネスは、創業者と後継者の適合度やスキルの違い、株の問題、後継者不足などの様々な課題があります。これらの課題を形式知として導き出し、解決策を見つけることが重要です。事業承継の課題は千差万別であり、同じケースは存在しませんが、多くの事例を通じてグルーピングできる可能性があります。
ーー最後に。
銀座が15年ほどの間にとても好きになり、その雰囲気や飲食店の良さに感銘を受けています。皆様のお役に立てるようにこれからもよろしくお願いします。
岩田の編集後記…
銀座には、ラグジュアリーブランドのみならず、老舗や中小企業も数多く存在し、「事業承継」は企業の未来を創造する重要なテーマだ。
特にファミリービジネスにおいては、後継者のスキルやファミリー間の問題など、特有の課題がありこれらを乗り越えるためには、豊富なノウハウと知識が必要である。
しかしながら、多くの場合クローズにされている「事業承継」課題を自らの体験から、オープンに共有しようとする姿勢や広告ビジネスだけでなく、コンテンツやコミュニティを大切にする前田社長率いる「矢動丸プロジェクト」の今後に注目したい。
<前田社長のランチ>
賢者の選択
『賢者の選択』シリーズは、矢動丸プロジェクト制作のビジネス情報番組。
「賢者の選択」|人生を変える、エグゼクティブインタビュー (kenja.jp)
賢者の選択サクセッション
「賢者の選択サクセッション」は、日本の社会課題である事業承継問題を経営者と共に解決するプラットフォームです。テレビ番組とWEBサイトで、事業承継の事例を紐解き、ノウハウを形式知化し、当コミュニティでアカデミックな知見を共有することで、事業承継問題における各社の課題解決に向けて、チームとなり共創することを目指している。
事業承継総合メディア-賢者の選択サクセッション (kenja-succession.com)
株式会社ミギウデ
ベンチャー企業から成熟企業、事業承継企業の成長を支える右腕人材(CXO)に強い、課題解決型の人材紹介会社。
株式会社ミギウデ(https://migiude.works)
聞き手 :岩田敏臣
写真 :田中駿伍(MAETTICO)