昭和の銀座を彩ったランドマーク

銀座全線座の外観は、尖塔のようなシルエットが特徴的。ヨーロッパ風のファサードが、賑わう銀座の街並みに溶け込みながらも、異彩を放っていた。当時は洋画のロードショー館として数々の名作を上映していた。
創業者の樋口大祐氏は、自身で設計・所有し映画館を単なる施設ではなく街の文化遺産として位置づけ、戦後の復興期には人々の娯楽の場として欠かせない存在となった。昭和52年(1977年)まで約40年にわたり営業を続け、銀座の風景の一部として愛され続けたのだった。

当時の銀座は、映画ファンで行列を作り、館内は豪華な内装で観客を魅了したという。現在は「銀座全線座ビル」へと生まれ変わり、銀座国際ホテルなどが入居する現代的な建物となっている。

壁面に刻まれた記憶のレリーフ

すべてが失われたわけではない。ビルの壁面に埋め込まれたレリーフが、往時の記憶を静かに守っている。このレリーフは、旧銀座全線座の外観を模したもので、1979年(昭和54年)のビル竣工時に設置された。柱部分や正面に配置され、細やかな彫刻が映画館の城のようなシルエットを再現。銀座の喧騒の中で、ひっそりと存在感を放っていた。

このレリーフは、単なる装飾ではない。銀座の歴史を語るモニュメントとして散策者の目を引いている。これは「失われたものを再発見する」喜びの象徴である。現代の銀座を歩きながら、ふと目を向けると昭和の風情が蘇る。レリーフの前で立ち止まり、過去の映画館を思い浮かべる——そんな時間が、街の深みを増すのだろう。
隠れた遺産を現代の銀座で探す
銀座を訪れたら、このレリーフを探すのがおすすめ。銀座8丁目の国際ホテル前で壁面をじっくり観察し周辺は、カフェやショップが充実し散策にぴったり。銀座全線座の物語は、都市のレイヤーを剥がすように、過去と現在を繋ぐ。映画好きなら、往年の名作を思い浮かべながら歩くのも一興である。銀座全線座の幻影は、進化する街のなかで静かに息づいていた。
住所:東京都中央区銀座銀座8-7-13
アクセス:東京メトロ銀座線3番出口から徒歩約3分

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執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24

