【日本初】〇〇を取り入れた銀座タニザワ『鞄』という漢字も考案していたすごいお店だった!

【日本初】〇〇を取り入れた銀座タニザワ『鞄』という漢字も考案していたすごいお店だった!


銀座の夜は、いつもどこかで光っている。その光の起源をたどると、銀座一丁目の「銀座タニザワ」に辿り着く。1927年、日本初のネオン管を灯し、街の風景を一変させた鞄店だ。さらに、この店は「鞄」という漢字を生み出し、モダンなライフスタイルに言葉を与えた。洗練された視点で、銀座タニザワが銀座の文化に刻んだ足跡を紐解く。そこには、革新と粋が交錯する物語があった。

夜を切り裂いた光「日本初のネオン管」

日本初のネオン看板を取り入れた銀座のタニザワ。「鞄」という漢字も誕生させたすごい店だった!
公式Instagramより

1927年、銀座のタニザワの店頭に、鮮烈な光が灯った。日本初のネオンサインだ。まだガス灯や提灯が街を照らす時代、ネオン管の眩い輝きは銀座の夜をモダンなステージに変えた。銀座は、明治以来、西洋文化の玄関口だった。大正デモクラシーの自由な空気と、震災後の復興ムードが重なり、1920年代の銀座は新しい時代の鼓動を刻んでいた。そんな中で、銀座タニザワはネオンという“未来”をいち早く掴んでいた。

ネオンは、単なる看板ではない。それは、夜の街に物語を紡ぐ装置だ。タニザワのネオンサインは、通行人の足を止め、銀座の空気を一瞬で変えた。店の存在を際立たせるだけでなく、商業広告の可能性を日本に示した瞬間だった。それまで夜は静かだった銀座が、ネオンの光で新たな表情を見せ始めたのだ。この光は、後に東京や大阪の繁華街に広がり、ネオンが日本の都市文化のシンボルとなる第一歩となった。

ネオンサイン

タニザワがネオンを選んだ理由は、銀座という場所の宿命ともいえる。銀座は、常に“新しい”を求める街だ。タニザワの店主は、欧米のトレンドを敏感に捉え、銀座の客層にふさわしい革新を仕掛けた。ネオンの光は、ただの宣伝ではなく、銀座の粋を体現するパフォーマンスだったのかもしれない。

「鞄」という言葉の誕生

公式HPより

銀座タニザワの革新は、ネオンの光だけに留まらない。彼らがもう一つ生み出したのは、「鞄」という漢字だ。現代では当たり前に使われるこの言葉だが、その起源はタニザワにある。明治から大正にかけて、西洋文化の流入でバッグの需要が急増した。ハンドバッグ、ブリーフケース、トラベルバッグ——新しいライフスタイルに欠かせないアイテムが街に溢れた。しかし、当時の日本語には、これらを包括する適切な言葉がなかった。

「行李」では古風すぎる。「袋」では野暮ったい。そこで、タニザワは「鞄」を考案した。革偏に包を組み合わせたこの漢字は、革製のモダンなバッグを鮮やかに表現した。タニザワが広告や店頭でこの漢字を積極的に使い、銀座の客に浸透させていったのは事実である。銀座という流行の発信地で、「鞄」は瞬く間に広まり、やがて日本語の一部となった。この「鞄」の発明は、単なる言葉の創作を超える意味を持つ。それは、日本が西洋文化を吸収し、独自のモダニズムを築く過程を象徴している。タニザワは、鞄を売るだけでなく、時代の空気を言葉で切り取ったのだ。銀座の街を歩くモガ(モダンガール)やモボ(モダンボーイ)が、タニザワの「鞄」を手に持つ姿は、1920年代の日本の新しいアイデンティティだった。

文化の交差点「銀座タニザワ」

公式HPより

タニザワの物語は、銀座のDNAを体現している。ネオン管の導入は、視覚文化の革命であり、夜の街をアートに変えた。「鞄」の考案は、言葉を通じてライフスタイルを再定義した。どちらも、単なる商業の枠を超え、銀座という街の文化を形作った瞬間だ。

今、銀座タニザワは、老舗としての矜持を保ちながら、現代の感性に応える鞄を作り続けている。店を訪れると、どこか懐かしく、しかし洗練された空気が漂う。それは、100年近く前にネオンの光を灯し、「鞄」という言葉を生んだ先人たちのスピリットが、なお生きているからだろう。

銀座を歩くとき、5代目・谷澤良郎氏が手がけた銀座タニザワの復刻ネオン看板をぜひみてほしい。そこには、ただの鞄店ではない。銀座の夜を照らし、時代の言葉を紡いだ、粋な挑戦の歴史が刻まれている。タニザワは、銀座がただの場所ではなく、常に“何か”を生み出す文化の交差点であることを教えてくれているのだから。

銀座タニザワ本店

銀座タニザワの本店は、銀座の中心に位置し、歴史とモダンが交差する場所にある。店舗は、銀座のブランドストリートにふさわしい洗練された外観と、伝統を重んじる落ち着いた内装が特徴。訪れる客は、ビジネスパーソンから観光客まで幅広く、銀座の粋な雰囲気を味わいながら、MADE IN GINZAの鞄を手に取ることができる。また、オンラインストアでも商品を購入可能だが、本店では実物を見ながら職人技の細部を体感できるのが魅力だ。

GINZA TANIZAWA TOKYO

住  所:東京都中央区銀座1-7-6

電話番号:03-3567-7551

営業時間:平日、土曜11:00~19:30・日曜、祝日11:00~19:00【定休日】元旦のみ

アクセス:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線「銀座駅」A13出口より徒歩約5分

公式サイトhttps://www.ginza-tanizawa.jp

取扱商品 : オリジナルビジネスバッグ、ダレスバッグ、ショルダーバッグ、バックパック、トートバッグ、レディースバッグなど、主に日本産の革素材を使用した高品質な製品

5代目・谷澤良郎氏
日本初のネオン看板を取り入れた銀座のタニザワ。「鞄」という漢字も誕生させたすごい店だった!

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24

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