銀座の柳

銀座を歩いていると、柳が視界に入る瞬間がある。
ずっと見上げるような木ではない。
気づくと、そこに揺れている。
風が吹いた時だけ、存在感が少し強くなる。
銀座の街路樹といえば柳。
そう聞くと、昔から変わらず並んでいたように思う人も多いかもしれない。
けれど実際は、そう単純ではない。
明治の頃、煉瓦街となった銀座にはいくつもの街路樹が植えられた。
その中で、銀座の環境に比較的合っていたのが柳だったと言われている。
やがて柳は、銀座を象徴する風景として定着していく。
ただ、その柳も一度街から減っている。
震災、道路整備、街の変化。
銀座は何度も姿を変えてきた。
柳も、その流れの中で消えていった時期があった。
それでも、「銀座には柳」という感覚だけは残った。
今、西銀座通りなどに植えられている柳は、街の人たちの手で再び戻ってきたものだ。
僕はそこに、この街らしさを感じる。
銀座は、昔のまま保存する街ではない。新しく建て替わるし、店も入れ替わる。
けれど、街の記憶だけは消さないようにしている。
柳は、その記憶に近い。
春の桜ほど人を集めるわけではない。
イルミネーションのように写真を撮られるわけでもない。
でも、銀座にはそのくらいがちょうどいい気がする。
目立ちすぎない。
けれど、無くなると寂しい。
柳は今日も、ビルの間で静かに揺れている。
急いで歩いていると、見落としてしまう程度に。
それもまた、銀座なのだと思う。

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24
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