#005 銀座図鑑「銀座の柳」


銀座の柳

銀座を歩いていると、柳が視界に入る瞬間がある。

ずっと見上げるような木ではない。
気づくと、そこに揺れている。

風が吹いた時だけ、存在感が少し強くなる。

銀座の街路樹といえば柳。
そう聞くと、昔から変わらず並んでいたように思う人も多いかもしれない。

けれど実際は、そう単純ではない。

明治の頃、煉瓦街となった銀座にはいくつもの街路樹が植えられた。
その中で、銀座の環境に比較的合っていたのが柳だったと言われている。

やがて柳は、銀座を象徴する風景として定着していく。

ただ、その柳も一度街から減っている。

震災、道路整備、街の変化。
銀座は何度も姿を変えてきた。
柳も、その流れの中で消えていった時期があった。

それでも、「銀座には柳」という感覚だけは残った。

今、西銀座通りなどに植えられている柳は、街の人たちの手で再び戻ってきたものだ。

僕はそこに、この街らしさを感じる。

銀座は、昔のまま保存する街ではない。新しく建て替わるし、店も入れ替わる。

けれど、街の記憶だけは消さないようにしている。

柳は、その記憶に近い。

春の桜ほど人を集めるわけではない。
イルミネーションのように写真を撮られるわけでもない。

でも、銀座にはそのくらいがちょうどいい気がする。

目立ちすぎない。
けれど、無くなると寂しい。

柳は今日も、ビルの間で静かに揺れている。

急いで歩いていると、見落としてしまう程度に。

それもまた、銀座なのだと思う。

執筆:ginzaboy
Photo:ギンザプロデュース24

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